壊れかけのバランス2

さて、就寝時。
ひよこちゃんを寝かせたい時間帯に大抵はなちゃんがぐずって起きています。
たぶん私が疲れてくるからなんでしょう。ぐずりが長引きます。
私としては、さっさとはなちゃんを寝かせてから、ひよこちゃんとしっかりスキンシップしながら寝かせてあげたいと思うのですが…
『はなちゃん寝かせたら、トントンしてあげるから、ころんとなっといて』と言っても、ひたすらお喋りをしていたり、うろうろ、しまいには遊びだすひよこちゃん
騒がしいので、ウトウトしかかったはなちゃんはすぐに目を覚まします。
『はなちゃんを寝かせたら〜』のセリフからまた再生、繰り返し繰り返し繰り返し。
だんだん私はイライラしてくるし、はなちゃんのグズリは増すし、眠さ倍増のひよこちゃんは益々聞き分けなくなり、最後は叱り飛ばし、叱り飛ばされ、お互いが嫌な気分でブルーな夜を過ごすはめになります。
結局、ひよこちゃんは唯一甘える時間も我慢して寝なくてはなりません。
そんなことが毎晩繰り返されると、当然朝の目覚めも悪くなり、悪循環そのものでした。
 
言葉にこそしないものの、その時のひよこちゃんの目は、『お母さんは私の気持ち分かってない!』と言っています。
次第にその目は、就寝時に限らず、無言で訴えるようになりました。
このままではいけない。
ひよこちゃんが壊れてしまう。
 
モノ言えぬ者を大切に。
弱者を優先して。
なんとなくそんな思いがあり、はなちゃんが新生児のうちは、ひよこちゃんにもちょっとだけ協力して貰いたいなぁと、どこかで甘えていたのかも知れません。
大人が我慢するのとはわけが違いますよね。
しっかり者のひよこちゃんですが、まだ4歳。
充分頑張っていて、充分我慢していることは分かっているのに、なんと勝手な母親でしょう。
言葉を知っているのに、モノ言えぬ子にしてしまうところでした。
 
ある晩、ひよこちゃんに聞いてみました。
『どうしてそんなにがんばるの?がまんするの?』
 
返ってきたこたえは、
『お利口さんになりたいから。お母さんが好きだから。』
 
なんだかすごくショックでした。
 
『あんまりがまんしないで』
『充分お利口さんだよ』
『そんなにがまんしないで』
 
つづく…